2024年11月28日から、日本の指定信用情報機関CICがクレジットスコア制度を開始するとのガイダンスを発表しています。
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この新しいクレジットスコアは、従来の信用情報に加え、消費者のクレジットカードの使用状況や支払い履歴などから算出され200~800点(CICガイダンスより)の3桁の数値で個人の信用度を数値化するものです。CICがスコアを提供することで、消費者や金融機関が個人の信用状況を客観的に把握しやすくなり、ローンやクレジットカードの審査において、手続きが効率化されると期待されています。スコアの算出に使用する具体的な基準は、アメリカのFICOスコアに似たモデルになる可能性があります。
金融機関へのスコア提供
導入当初は、スコアが金融機関などに提供されるのは2025年4月からで、利用範囲も限定される見通しです。またこのスコアは第三者への提供を望まない場合には「停止」を選択することが可能で、一度停止した場合でも、その停止を解除することもできます。
クレジットスコアの利用用途
日本では、アメリカのように一般的にスコアが公開されていないため、個人が自身のクレジットスコアを意識する機会が少ないです。スコアの使用も銀行やクレジットカード会社などが限定的に行っていますが、以下の場面では利用されることが増えています。
- クレジットカードやローンの申請時
クレジットカードや住宅ローン、自動車ローンなどを申し込む際、各信用情報機関のデータを基に返済能力を判断することが一般的です。 - 賃貸物件の審査
最近では、一部の不動産業者が信用情報を参照し、賃貸契約の際に審査材料とするケースもあります。 - 後払いサービス
メルカリやPayPayなどのキャッシュレス決済が進む中で、後払い機能や分割払いの提供に際し、個人の信用情報が参照されることが増えています。
クレジットスコアの今後
日本におけるクレジットスコアの今後の展望については、金融業界や消費者の間で徐々に関心が高まっており、信用スコアが生活のさまざまな分野で影響を与える可能性が期待されています。特に2024年11月28日からCICによる新しいクレジットスコアシステムが導入されることで、以下のような分野において影響が予測されています。
1. 金融業界での活用拡大
銀行やクレジットカード会社などの金融機関は、融資審査の迅速化と効率化に期待を寄せています。これまでのように単なる収入や職歴だけでなく、クレジットスコアに基づいて信用力を判断することで、審査プロセスがスムーズになり、適切な貸付判断が可能になるとされています。また、CICによるスコアは信用情報に依存しており、不良債権リスクの軽減にもつながると期待されています
2. 賃貸市場や就職活動への適用
賃貸住宅市場においても、クレジットスコアが参照されることが予測されており、入居者の信用力を判断する一助とされるでしょう。特に、近年では賃貸契約において保証人が不要なケースが増加しているため、クレジットスコアの利用がますます重要視されています。また、就職活動や転職市場でも信用スコアの活用が進む可能性があり、企業が応募者の社会的な信用力をスコアから把握し、雇用リスクを低減する方法として注目されています
3. キャッシュレス社会の推進と消費者向けサービス
日本ではキャッシュレス決済の普及が急速に進んでおり、クレジットスコアが後払い(BNPL)サービスやリボ払い、分割払いなど、消費者向けの新たな支払オプションに影響する可能性があります。クレジットスコアが高い消費者には、利率優遇や特典が提供されるなど、信用スコアを利用した柔軟なサービスの提供も考えられます。さらに、特定のプラットフォームでの活動(メルカリや楽天など)に基づくスコアリングが、ユーザーの信頼性向上に寄与し、個人間の取引における安心感を高めることも期待されています
4. 個人の信用力による格差拡大の懸念
一方で、信用スコアが一般生活に深く関わるようになると、スコアの高低が利用できるサービスや選択肢に影響を与えるため、信用スコアの格差によって生活の質に差が生じる懸念もあります。特に、信用スコアが低い人々が不利な条件で契約を結ぶリスクも存在するため、プライバシー保護や公平性の観点から慎重な対応が求められています。
5. 今後の課題と改善の方向性
日本でのクレジットスコア導入はまだ始まったばかりであり、各社のシステムの調整や法律面での整備が必要です。プライバシー保護やデータ管理が課題であるため、利用者が安心して活用できる環境整備が重要視されています。